呼吸リハの常識と効果
呼吸リハの常識と効果
みななんこんにちは。理学療法士キュン(@kyunn23)です。
呼吸リハビリというとみなさんどんなことをしていますか?
- 痰がある方に呼吸介助をして痰を出してもらう
- COPDの方に口すぼめ呼吸の指導
- 酸素飽和度を確認しながらの歩行訓練
- ADL訓練(入浴動作、靴の着脱、トイレ動作)
- 呼吸筋のストレッチ
- 胸郭の可動域訓練
- 上下肢の筋力トレーニング
どれも間違ってはいないと思います。
呼吸リハビリっていろいろやることがあってあっという間に時間が終わってしまうと思います。また、利用者さんの息切れが落ち着くまで待っているとできることは限られています。
そこで私は、この3つを紹介したいと思います。
- 座ってもらう
- 下肢の運動
- 酸素流量のタイミング
ここでは、呼吸リハビリの3つのポイントについてお伝えします。
目次
座位を取りましょう
深呼吸を促す
理由は、深呼吸を促してほしいからです。
昔は、体位ドレナージをして痰を出した後に離床を行なっていたようですが、
第一選択はたてにおこします。
仰向けでは、腹部臓器の圧迫と胸郭の動きが制限されることで肺の弾性力が低下してます。それによって、徐々に呼吸が浅くなってしまい酸素の取り込みが少なくなります。
酸素の取り込みが少なくなることで、息切れが増加して動作に支障が出てしまいます。
そこで、縦に起こすことによって腹部臓器の圧迫がなくなり胸郭の動きも制限がなくなります。また、横隔膜の動きも重力の関係で活性化します。すると、酸素の取り込む量も維持できるため肺の状態は最低限の悪化で防ぐことが出来ます。
下側肺障害の予防
下側肺障害を予防することで無気肺にならないようにしてほしいからです。
無気肺が生じることで、肺炎のリスク、酸素の低下、息切れが増加してしまうからです。
下側肺障害とは、仰向けの状態で長い間いることによって肺の後ろ側に何らかの障害がでることです。たとえば、重力により気道分泌液が貯留することで後ろの肺に無気肺が生じてしまいます。
ほとんどの方は、ベッドに仰向けで寝ている方が多いと思いますので肺の後ろの方に悪いことが起きやすい状態にあります。
そのため、臨床で聴診を行うときは確実に肺の後ろも聴診は行うべきです。これは以外にやらない方が多いんですけども絶対にやってください。理由は、仰向けで寝ている方は肺の後ろに障害で出やすいからです。
肺の後ろを聴診するポイントは、S10と呼ばれる領域に無気肺を生じやすいです。肩甲骨下角と胸椎の間がS10にあたるのでそこを聴診しましょう。空気の入りが弱ければ縦に起こして介助呼吸を行いましょう。
下肢トレーニング
呼吸リハビリのエビデンスにて下肢筋力トレーニングはグレードAとなっています。
上肢トレーニングはグレードB、呼吸筋トレーニングはグレードⅭと効果は下肢筋力に比べると低いデータとなっており下肢筋力トレーニングの重要性は証明されています。
理由としては、下肢筋力低下することで長い距離を歩くことができず体力も同時に低下します。体力が低下すると息切れも強くなります。
苦しくならないようにするため、ベッドにいる時間が増えてさらにADLが低下する悪循環となりかねません。
そのため、下肢筋力を維持していくことは活動量を維持することにもつながり結果としてエビデンスも高い結果となっていると思います。
酸素流量のタイミング
これは、日本離床研究会の在宅呼吸アセスメント講座に参加した時に教えていただいたことです。
在宅酸素療法の方って医師の指示より「安静時1ℓ・運動時2ℓ」と運動時は流量を変更して下さいと記載があることがほとんどです。
この時、皆さんはどのタイミングで2ℓに変更していますか?
勉強会参加前「じゃ今から歩きますので2ℓに上げますね」
勉強会参加後「じゃ今から歩きますので2ℓに上げますね。1分間深呼吸してから動きますので待っててくださいね」
どこが違うか分かりますよね。
酸素を上げてからすぐに動作を始めないようにしてます。
理由としては、 心臓から抹消まで血液が流れるのに約50秒かかると言われています。
そのため、1分前から流量を上げて全身に酸素が届いてから動作を開始します。
これを行うことによって、酸素が全身に運ばれた状態なので息切れが少なく動作が行えます。
ぜひ酸素流量を変更したらすぐに動かずに1分間してから動作を開始してみましょう。
まとめ
呼吸リハビリでは、呼吸ケアの第一選択として縦に起こしてください。
理由としては、肺の機能を維持していくことが息切れの増悪予防になるからです。また、無気肺を予防して肺炎リスクも軽減していきましょう。
しかし、絶対起こしていかなければいいということではなく血圧の変動などバイタルサインを確認してからおこないましょう。
次に、上肢トレーニングや呼吸筋トレーニングより下肢トレーニングのほうが呼吸リハビリのエビデンスが高いです。理由としては、下肢筋力は直接活動に密着しているからです。体力が低下することで息切れも増悪してしまうため限られた時間の中でリハビリを行うのであればまずは下肢筋力のトレーニングを行っていきましょう。
そして、運動時は一分前に酸素流量を変更しましょう。これは、利用者の指導にも使えるポイントです。酸素流量を上げたらすぐに動かいように伝えていきましょう。
この記事を見て少しでも利用者のためになれば幸いです。