起立性低血圧の原因と対応について 4つのポイントを分かりやすく解説
起立性低血圧の原因と対応について 4つのポイントを分かりやすく解説
こんばんわ。理学療法士のキュン(@kyunn23)です。
臥床傾向の方はなぜ起立性低血圧になりやすいか分かりますか?
それは、循環血液量の低下や重力による変化、自律神経の変化、心機能の低下が関係しています。これらにより、頭に一定量の血液を送ることが出来なくなりめまいを引き起こします。
ただそれだけでは原因が分かっただけで、原因に対してどのように対応していけばいいかが分かりません。
じゃどうやって対応していけばいいか?ここまで話をしていきます。
これを知るだけで他のセラピストとの違いを見せることができて患者さんからも信頼を獲得できます。
循環血液量の低下
地球上で立っている時は、重力があるため体液は足のほうに移動します。
そんなことは医療に関わる人であれば誰だってわかりますよね。
それでは、宇宙に立っているときはどうなりますか?
宇宙で立っている時は、重力がないため体液は頭の方に水分が多くなります。
そのため、頭の方に血液量が多いから「おしっこで出さなきゃ」となります。
重力がないつまり、寝たきりの状態になれると体の血液量が下がっていきます。
寝たきりの方は、ベースが脱水傾向。
なんで、頭に血液量が増えるとおしっこが出るのか?
頸動脈小体という圧受容器が、頭の方に血液が多いなと思ったときには、「頭の方に血液が多いから早く減らさないと」と体の体液が多いなとまちがえて判断してしまうためおしっこを出します。
つまり、圧受容器が判断したことで脱水傾向となります。
頭部に一定量の血液が送られないように頭を高くすることが循環血液量の低下を防ぐ
重力による変化
健常人は、寝ているところから急に起きてもめまいを起こすことはありませんよね。
なぜだか分かりますか?
健常人は、寝ているところから急に起きても圧受容器がしっかり働いているため、頭の血液が足に移動しても症状は起きません。
ただ、両足に700ml約15%の体液が下がっています。
じゃなんでめまいが起きないのか?
この時、圧受容器が「まずい、頭に血液を戻さなきゃ」といって心拍数を上げて頭に送っています。
なので、健常人であればめまいや失神はしませんが、長期臥床の方は圧受容器の反応が悪いのでめまいや失神を起こしてしまいます。
圧受容器の反応が悪くなることで心拍数を上げるまでに時間がかかりめまいを起こす
じゃ足に移動した血液を戻すにはどうしたらいいか
圧受容器の反応が悪い人にはどうしたらいいか。
二つ方法があります。
筋ポンプと呼吸ポンプを使います。
・筋ポンプについて
足にたまった血液を戻すためには静脈の動きを良くすればいいのです。ただ、静脈には、弁がありません。
足をパタパタ動かすことで筋肉の収縮、弛緩することで静脈還流を助けることができます。
ぜひ。皆さん、足をパタパタするとむくみや疲れが解消されるのでやってみてください。
・呼吸ポンプについて
「大きく深呼吸して、はいてー吸ってー」と言ってください。
肺が膨らんで横隔膜が下がっているとき 吸気
肺が小さくなって横隔膜が上がっているとき 呼気
心臓に戻る腹部からの静脈も収縮と弛緩を行うので還流量が上がります。
大きく深呼吸することが血液の還流を助けとなります。
あしをパタパタ上下に動かしてあげる
深呼吸を促してあげる
自律神経系の変化
圧受容器が足に血液が移動したときに「まずい、頭に血液を戻さなきゃ」といって心拍数を上げて頭に送っています。
これは、交感神経が働いて心拍数をあげることで頭に血流を送っているので自律神経系の変化というものも起立性低血圧の方はうまく働いていない証拠になります。
段階的に離床する
いきなり起こすのでなくゆっくり圧受容器の働きを促す
血圧低下を防ぐ防御反応として交感神経をうまく使って維持しています。
長期臥床の方は、交感神経がうまく働いていない状態になっています。
心機能の低下
心臓というのは、血液を送り出すものです。
一回の「ドックン」で約70ml血液が出されます。
臥床が続くと循環血液量が減ってしまうので70mlしっかり出せない状態になってしまいます。
そうすると、心臓は70mlも出す必要がなくなるので「ドックン」させる力は必要なくなりますよね。
その結果、心筋は委縮して力がなくなってしまします。
さらに、「ドックン」させる必要がないので心臓に血液を蓄えておく必要もありません。そのため、心室の伸展性の低下がおきて容量が不足してしまいます。
十分な血液をためておくこともできず、送ることもできない。これが、心機能の低下です。
一回70ml「ドックン」がなくなると血圧が低下してしまうとイメージしといておいてください。
まとめ
起立性低血圧は、長期臥床に伴い
- 脱水傾向がベースにある
- 圧受容器の感受性が低下
- 交感神経がうまく働かない
- 心機能が低下する。
これら複数の要因が作用し、起立性低血圧を引き起こします。
対応としては
- 寝たきりにしない
- あしをパタパタ上下に動かす
- 深呼吸を促す
- 段階的におこす
臨床で意識してみてください。
以上簡単ではありますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。