肺炎予防 2つのポイントを意識する
肺炎予防 2つのポイントを意識する
理学療法士のキュン(@kyunn23)です。
「 夜寝ているときにせき込みがあって苦しそうで心配です」
「せき込むと良くないと思って食事は気を付けています」
「食事の時良くせき込んでしまいます」
利用者の家族からよくこんな話があります。
この時、みなさんならどんな言葉をかけますか?
「せき込まないように食事を気を付けるのはいいと思います」
「誤嚥性肺炎に注意しないといけないですね」
こんな言葉をかけていませんか?
「むせることはいいことです」
この言葉を伝えてみてはいかがでしょうか?
ご家族の方は、この言葉で安心される方をたくさん見てきました。
むせるは、肺炎予防の第一歩なのです。
でも、実際はむせてる人って誤嚥性肺炎になっていますよね。むせることは大切なんですがなにかが足りないんです。
それは、口腔ケアもしっかり行うことです。
むせることの重要性を理解してむせる=悪いではなくむせる=良いと言えます
口腔ケアの重要性を理解することが出来ます
- 高齢者のむせるを悪いと判断してしまう原因
- むせる=誤嚥性肺炎??
- ではなぜ、誤嚥(むせる)によって肺炎を発症する人がいるのか?
- 口腔ケアを適切に行った場合
- 口腔ケアポイント
- むせない=誤嚥性肺炎
- まとめ
高齢者のむせるを悪いと判断してしまう原因
やはり見た目でしょう。
せき込むことで苦しい表情をされているからだと思います。
しかし、私たち医療人はそのことに惑わされてはいけません。
見た目だけで良い、悪いを判断出来たらそもそも何のために医療人になったのか。
医療人だからことむせるの必要性を伝えていかなくてはいけません。
むせる=誤嚥性肺炎??
ご家族「むせることが多くて肺炎が心配です」
施設スタッフ「この人最近食事の時に強くむせることが増えています。誤嚥性肺炎のリスクはありますかね?」
このようなことはよく聞かれます。
なぜ、むせる=誤嚥性肺炎になるのでしょうか?
むせるということは、誤嚥(食べ物などが口から気管に入ってしまう)によって、飲食物を排出しようとする働きです。
この、異物を排出しようとする働きが見た目からあまり良くないと思われがちです。
はっきり言います。これは、いいことです。
そして、誤嚥の原因として真っ先に嚥下機能の低下を疑います。
だから、嚥下機能低下=肺炎と思われている医療スタッフが非常に多いと思っています。
ただ、それと誤嚥性肺炎はイコールの関係ではないと思っています。
ではなぜ、誤嚥(むせる)によって肺炎を発症する人がいるのか?
咽頭周囲の感覚の低下、嚥下の低下
咽頭周囲に唾液が溜まりやすくなる
唾液に残渣がくっつくことで細菌が増える
食品誤嚥より咽頭にくっついている残渣も肺に繰り返し侵入してしまう
これが結果として肺炎を発症する
誤嚥だけが肺炎とは限らない。口腔ケアを行うことで食物残渣を防ぎ肺炎は予防できる。
口腔ケアを適切に行った場合
-
肺炎発症率 40パーセント低下
-
死亡率 50パーセント低下
-
嚥下反射の時間が短くなる
-
咳反射が起きやすくなる
という研究結果もある。
口腔ケアポイント
①奥→手前にむけて行う
②舌の上下、側方全体をブラシで刺激する
③感覚刺激が入ることで動きが良くなる
むせない=誤嚥性肺炎
不顕性誤嚥
むせのない誤嚥という意味です。
むしろ、むせるよりむせない誤嚥は非常に危ないです。
理由は、見た目が苦しくなく安全に見えてしまうからです。
むせがないからといって、ある日とつぜん肺炎が起こります。
高齢者では、不顕性誤嚥で急に肺炎になる方はいないですが徐々に進行し肺炎を発症します。
「先月は咳が出てたのに最近はよくなったです」とご家族から言われた時、「よかったですね」これは非常に危ない返答です。
状態がよくなっていればいいですがむせることをスルーしてしまっている場合もあります。
ご家族は、むせないことがいいと思われている方が非常に多いのです。
「むせなくなってよかったです」と言われた時、「むせないことは良くないですよ」と伝えてもあまり良いイメージは持たれません。
早めのうちに「むせることはいいことですよ」と伝えてあげるといいと思います。
まとめ
「この人は、最近食事でむせなくなりました。あの方は、最近食事の時むせるようになって心配です」このように言われた時は、真っ先に「むせない方のほうが誤嚥のリスクが高いので注意してください」こう伝えてください。
ご家族や施設スタッフのかたは、皆さんが思っているよりむせることは良くないことだと勘違いされている方が非常にたくさんいます。
正しい知識を持っている私たちが正確な情報を伝えていくことで利用者さんの肺炎を早期発見できる手助けができると思います。
また、誤嚥性肺炎を繰り返す方、発症しそうな方がいましたら口腔ケアの重要性をご家族や本人に伝えてみてはいかがでしょうか。歯科衛生士さんに相談してみてもいいかと思います。