離床する理由 デコンディショニング?
離床する理由 デコンディショニング?
理学療法士のキュン(@kyunn23)です
臥床傾向の利用者さんには、「できる限り離床を促しましょう」。
言っていることは分かりますよね。専門的な知識がない人でもそれはやったほうがいいとおもいますよね。逆に「ずっと寝ててください、起きなくていいです」なんて言う方のほうが珍しいですよね。
なんとなく寝ているとあまり体に良くない気がするから「ずっと寝てていいよ」とは言わないですよね。
ではなぜ、ベッドからあまり動きたくない人をわざわざ起こしてまで活動させる必要があるのか?
目次
寝たきりは筋力低下や関節拘縮だけではない
なぜかというと、
寝たきり=筋力低下、関節拘縮ではないからです。
筋力低下は、
- 階段の上り下りが難しくなる
- 外出する機会が少なくなる
- トイレに行けなくなりポータブルトイレになる
関節拘縮は、
- 膝関節が固くなり曲がってしまい歩きづらくなる
- 膝が開きにくくなりおむつ交換が大変になる
筋力低下や関節拘縮がどうして寝たきりの原因と考えるかというと
目に見える変化で利用者のそばにいる方が気づきやすく、そして介護の負担も目に見えて増えてくるからだと思います。
つまり、気づきやすい変化だからです。
しかし、私たち医療従事者は気づきやすい変化だけではなく気づきにくい変化も理解して離床をしていく必要があります。
では、どんなことが考えられるか?
デコンディショニングとは
長期間の安静・臥床の結果、ワッサーマンの歯車がうまく回らなくなりデコンディショニングという状態になってしまいます。廃用症候群という言葉だけではなく呼吸器合併症や循環器障害だったり、たった一日寝たきりになっているだけでも起こり得ると言われているのがデコンディショニングです。
ほかにもデコンディショニングによってさまざまな障害があります。
ワッサーマンの歯車って何?
酸素運搬過程を模式図で表したもので、呼吸・循環を考えるうえでの基本となります。
3つの歯車のうち、右が肺、真ん中が心臓、左は骨格筋を表しており、酸素は右から左へ、二酸化炭素は左から右へ運ばれます。
これらのどこに障害が起こっても、酸素の運搬に支障をきたします。
つまり、パルスオキシメーターの値が低い場合は、どこの運搬過程で障害されているかを考えることです。
「酸素の値が低いからリハビリ中止」ではなく、原因を考えることも大切です。
離床をしてデコンディショング予防しよう
健常者の私たちは一日中寝てるだけではこのような症状にはなりませんが、
たった一つの病気をしているだけで一日臥床しているだけで下側肺障害という呼吸器合併症を起こしうることがあるのです。
もちろん、早期離床を起こすことでデコンディションを予防することができます。
呼吸不全の人であれば呼吸のケアをしてあげる、循環の人であれば循環の歯車を回してあげる。
これらを意識して離床を行うことで、離床に積極的でない利用者さんやご家族の方、周りのスタッフの方に
「起こすことは、動きにくくなったり関節が硬くなるだけではなくて、今後起こりうる呼吸や循環などさまざまな二次的合併症を予防する意味で非常に大切なことです」
と離床することの大切さを伝えていきましょう。
離床時のアセスメントの注意点
体は代償していきます。特に、在宅の患者さんは悪いところに慣れています。
なので、バイタルサインは万能ではないかもしれません。
そういったときに、いつもの値に比べてどうなのか。いつも体温が35度なのに37度あった場合やもともと不整脈が続いている方など普段とどうなのかをしっかり理解して離床を進めていく必要があります。
正常を頭の中で見ていると、いつもの異常が見えてこないです。
例えば、体温は38度以上が離床禁忌とか不整脈は離床できないなど
この人もともと脇が乾燥してるけどもっと乾燥しているのが異常な状態なので
いつもどうなのかを評価してこそ安全に適切な離床を進めることが出来ると思います。
自分自身が正確なモニターとなって目の前にいる利用者が安全に離床を行えるようにしていきましょう。
まとめ
寝たきり=デコンディショニングです。
今回は、一つ一つ詳しくデコンディショニングについて説明はしませんでしたが、寝たきりは、筋力低下や関節拘縮以外にも呼吸器合併症や循環器障害だったり目に見えづらい二次的合併症を発生させてしまうのです。そうならないためにも、離床の大切さを利用者やご家族、チームスタッフに伝えて、起こしていく流れを私たちから作っていきましょう。そして、普段からいつもがどうなのかを評価して安全な離床を進めていきましょう。
離床することの大切さを伝えることができて、デコンディショニングを予防することにつながれば幸いです。