ロフストランド杖ってこんなに便利なんです
ロフストランド杖ってこんなに便利なんです
理学療法士のキュン(@kyunn23)です。
今回は、臨床経験からロフストランド杖の便利さに気づかされたエピソードを書いていこうと思います。
目次
はじめに
皆さんはどんなときに使うものだと考えていますか?
自分は、両足がうまく動かない方に、両腕で支えて歩く杖かなと学生の頃から今までずっと思っていました。(恥ずかしながら、、、、)
実際、教科書等では片麻痺の症状がある方や握力が弱い方に適していると記載があります。
しかし、臨床でも使用している方はほとんど見たことがなかったです。(自分だけでしたらすみません)
4点杖やサイドケーンであれば臨床でよく見かけました。
まさか、ロフストランド杖を片麻痺の方が使うなんて想像もつきませんでした。
でも、片麻痺の方にはとても便利なものだと臨床7年目で気づかされました。
なぜかというと、ロフストランド杖を使用したことで、
腕や腰の負担が軽減して、楽に歩けるようになった方がいるからです。
そして、歩行のふらつきも減り外出機会も増えました。
症例について
約7年ほど前に脳出血で重度片マヒになった方です。体格が良く麻痺のない腕で過剰にT字杖を床に押し付けながら妻の介助(ズボンをつかんでいる)で歩行を行っていました。時々、転びそうになるとT字杖を離して壁に手をつくことで転ばずに生活を送っていました。
もともと、杖を使用している腕の疲労と麻痺側の肩から腰部にかけての疼痛がありました。徐々に疲労と痛みが強くなりベッド上にいることが長くなりました。最近は、排便の時だけ妻の介助で1日2~3回程度トイレまでの歩行を行っていました。
ある日、本人からこれ(ロフストランド杖)を使ってみたいとお話がありました。何かのパンフレットで見たとのことでした。
そもそもロフストランド杖で片麻痺の人が病院のような広いフローリングの廊下でなく、自宅環境(段差があったり、じゅうたんが敷いてある、たたみがある)で使うなんて考えられなかったので、4点杖かサイドケーンを一度使ってみませんかと話をしましたが見た目が嫌いとのことでした。
一度、使ってみないと納得しない方でしたので「じゃ使ってみますか」と無理だろうと思いながらケアマネージャーに相談しました。一度、お試して借りることになりました。
自宅に届いたので、歩いてみると
ハンドグリップでの握りやカフの部分に加えたちからが伝達しやすい構造になっているためか「すごい腕が楽」と第一声をいただきました。
後方へのふらつきも少なくなり歩行時の介助が軽く支える程度になりました。
T字杖では、多くの体重をかけると逆にバランスを崩すため肩や腰部でちからを入れてうまくバランスを取っていたから疲労が生じたのかな思いました。
ロフストランド杖は、ちからが伝達しやすく片側につくことで体重の1/3を支えることができるので、肩や腰部の負担が軽減したことで楽になったのかなと思いました。また、前にしっかり荷重をかけられるため後方へのふらつきも少なくなったのかなと思いました。
ただ、立位機能は低下することが予想されたのでこれでいいのかなと悩んでいました。
次の週に、訪問を伺うと
「土曜日、妻と買い物に行ったよ。少し歩いたよ」とトイレだけの移動だった方が、杖を変えただけでこんなに活動意欲が上がることに驚きました。肩や腰部の負担が軽減したことで、歩行時の辛さも減る。活動量が上がる。
とても、感動しました。
ただ、全体重を思いっきり支えることになったので不安要素もありますが、自分から動きたい気持ちには変えられないと思っています。
O字型の杖では、とっさの時に壁に寄り掛かることが難しいので、今回の症例はU字型を採用しました。
その後も、転倒はなく週に一回程度は妻と買い物で数メートルは歩いています。
ロフストランド杖のレンタル費用は1カ月で約100円~200円です。
まとめ
ロフストランド杖ってあまり使ったことがなかった方には、実際のエピソードを聞いて使ってみたいと思いませんでしたか?
自分も正直、「ロフストランド杖って歩きにくそう、使いづらそう」と思っていました。体験後は、「めちゃくちゃ他の利用者にも伝えたい」と思うようになりました。
利用者も今までT字杖を使っていて、急にこんなゴツイ杖を紹介されても戸惑うかもしれません。
しかし、その方に適合した時は今後の人生に影響を与えるだけの効果があるかもしれませんよ。
ぜひ、試して試して試してみましょう。