けきれんが起きたとき これを聞けば焦らない
けきれんが起きたとき これを聞けば焦らない
理学療法士のキュン(@kyunn23)です
利用者さんでけいれんされた方に出会ったことはありますか?
私は、ありません。しかし、仕事以外でけいれんした方を見たことがあります。
いざ、けいれんが起きたときってどうしたらいいかわからず周りに知らせようとけいれんしている方の近くから少し離れました。そして、何もすることが出来ずに大声で誰かを呼びました。
この対応の仕方では、けいれん中の評価ができていないので
医師への報告が不十分になったり、そしてけいれんが悪化したかもしれません。
なぜだかわかりますか?
やることは
①刺激を与えないこと
②絶対その人から離れないこと
これが原則です。
具体的にどうすればいいか解説していきます。
目次
けいれんにはどんな種類があるか?
けいれんとは、随意筋である骨格筋が、自分意志とは無関係に発作的、連続的な収縮を起こす症状です。
発作的=強直性
体が伸びきってしまう状態です
連続的=間代性
ブルブル震えている状態です
けいれんを起こす疾患ってどんなのがあるの?
けいれんを起こす疾患
脳腫瘍、脳卒中、頭部外傷など脳の障害によるものです。
他には、ひどくなると低酸素血しょうやショックの状態でも起こります。ただ比較的に起こりやすいのは、脳障害によるものです。
あとは、てんかんと診断を受けた方もそのあと起こりやすいです。
けいれんが起きたときにやるべきこと
安全確認と応援要請です。
その後になんで起きたのかを考えていけば良いと思います。
安全確認
主に、ベッドで何かをしているときに急にけいれんになる事が多いです。
けいれんは左右対象にならない場合が多いので、ベッド寝ているとどちらかに動いたりしてしまうため、転落したり、ベッド柵にぶつける可能性が非常に高いです。
ですので、しっかり柵をつけてクッション入れることで安全を確保しましょう。
そして、利用者さんから離れないようにしましょう。
応援要請
けいれんをしている人にほかの刺激をいれることでけいれんを悪化させてしまうことがあるので強い刺激を与えないことが大前提となります。
応援要請するときって、どうしても大声で叫びたくなりますよね。
大声で大丈夫ですかとか、震える体を無理やり止めようとしたりすることで強い刺激を与えてしまうため、刺激をすくなくする対応が必要になります。
病院であればナースコールを押した後も安心するのではなくて、他の方が来て大きな声を出さないように注意を促してみるのもいいと思います。
その他
・けいれんになりそうなときやなったときは、刺激が少なくなるように衣服のボタンを 緩めたり、ベルトを外したりして極力刺激を減らすこともいいと思います。
・軌道確保のために口には何も入れないでください。
もし、舌を噛んでも縫えば大丈夫です。舌を噛んで口腔内に出血した時は横にむかせて下さい。そんなの出来ないよという方は首だけでも横をむかせましょう。
・けいれん中に血圧を測ろうとマンシェットは巻いてはいけません。刺激が増えてしまうため橈骨動脈を触れて確認しましょう。
「けいれん」の情報収集とアセスメント
原因はいっぱいあるのでけいれんした方を見つけたとき今すぐ探究しなくてはいけないというわけではありません。
実際にけいれんを見つけたときに何をアセスメントすればいいのか?
呼吸状態の観察
呼吸状態の観察を行います。
全身性のけいれんは呼吸が出来ないため低酸素血しょうになり低酸素脳症となる可能性が高いです。そのため、呼吸が出来ているかをまずは確認しましょう。
情報収集
情報収集は非常に大切です。起こったときにやる事ではないですが、起こる前に事前に対応できることは準備していきましょう。
①どんな時にけいれんが起きたのか?
事前に知っているだけで、いつ誘発されるのか知ることが出来る。
例えば、ポケットモンスターというアニメを見ていた子供たちに全身痙攣発作が生じた事件が全国的に多発しましたのを覚えていますか?光過敏性てんかんによるものです。
これは、テレビを見ていて、強い光の刺激で、全身にけいれんが起きたということになります。
一度けいれん発作が出現した方には、「いつ、どのように発作がおきて、発作が起きる前兆はどんな感じでしたか?」と聞くことで、同じ前兆があったときはこうなるかもしれないと落ち着いて対応ができるようになると思います。
もしその方が、「目の前が暗くなって1分後に震えがきた」「耳鳴りがしてから1分程度でがたがたきた」と先に情報を聞いておくと症状が出現したら服のボタンやベルトを緩めておこうとか、連絡を取れるように携帯電話を近くに置いておいたりすることが先に先に出来るようになり少しでも落ち着いて対応できるようになります。
②抗けいれん薬の服用があるか
薬を飲んでるか飲んでないかは情報収集で大切です。
内服していることが分かれば、一度は発作が起きているか可能性が高いので先ほどの質問をしてみてください。
抗けいれん薬は、血中濃度が有効血中濃度に達するまでに調節が難しいと言われています。減量したり薬の内容が変わった直後はけいれん発作を起こす可能性があります。
そして、副作用が強い薬が多いです。眠気やふらつき、薬疹が出たりすることもありますので注意してください。お薬の飲み忘れにも注意が必要です。処方されたものを内服しているかの確認を行ってください。
③原病歴既往歴の確認
特に頭部外傷、脳血管障害の皮質下出血はてんかんを起こしやすい。
脳幹部はほとんどけいれんは起こさないです。
てんかんの既往歴があるのか、他にてんかんを引き起こしやすい病名があるのか確認しましょう。
けいれん時のアセスメント
①意識障害
大事なことはけいれん前と後の意識レベルがどうなっているか。
けいれん後は意識レベルが低下していることが多いです。
全身体をブルブルブルブルと体を動かしているだけでとても疲れますよね。
けいれん後に意識レベルが低下した場合、
脳に損傷が与えられてるからなのか、それともただ疲れているだけなのか
これを評価するには、けいれん前と後の意識レベルの変化が重要になってきますのでどの程度の意識レベルが低下しているかしっかり評価しましょう。
②けいれん部位
全身性なのか部分的なのかを評価して下さい。
全身的な場合:大脳が、左右両方異常な電気刺激がある場合です。
部分的な場合:右手だけブルブルしていれば左の脳に異常をおこしています。
これがだんだん足に顔に広がる場合もあります。広がりかたも今後の治療に必要になる事があるので評価出来たらしてみてください。
評価ポイント
頭部とか眼球の偏移が起こりやすいです。
例えば、右の脳に異常があると左側に震えが起きます。この時、眼球と頭部が左に偏移します。
どちらに向いているか眼球と頭部をチェックするといいと思います。
逆に顔がブルブル左右に動く場合は、心因性のてんかん発作の可能性が高いです。これは、精神疾患の方のけいれんになります。
脳血管障害の場合は、どっちかに傾くことが多きです。
どちらにしても、ずっと動いてると酸素の消費が多いのでこれを止めるために鎮静や抗けいれん薬をいれて、落ち着かせることは同じになります。
そのあとは、精神科にコンサルすることが必要になってきます。
③けいれんの持続時間
けいれんが起きたらその場から絶対に離れないでください。
呼吸状態も見ないといけないしけいれん時間も見ないといけません。
生命の危険
15分のけいれんが持続している場合です。
ただ、5分以上は危険になってきますのですぐに救急車を要請しましょう。一日2回の痙攣も生命の危険があります。
何分けいれんしたかしることは非常に今後の治療方針に重要なことなのでしっかり評価しましょう。
まとめ
けいれん発見時は、利用者さんの安全を最優先に行い、同時に呼吸とけいれんの詳細なアセスメントを開始しましょう。けいれん時のアセスメントは、その後の治療に役立ちます。
①安元確保(ベッドからの転落や頭部・四肢の打撲に注意しましょう)
②利用者さんのそばを離れず応援要請をしましょう
③呼吸状態を確認しましょう
④刺激を少なくしましょう(衣服を緩める、部屋の明るさを暗めにする、音を小さくする)
⑤けいれん部位や時間を測定しましょう
⑥けいれん後の意識レベルの違いを確認しましょう
一番やるべきことは、
①刺激を増やさない。減らす処置を行う
②絶対その人から離れないこと
最低でもこの二つは持ち帰って臨床に生かしていただけたらと思います。
すこしでも、この記事を読んだことで利用者さんがけいれんを起こしたときにすこしでも落ち着いて対応できれば幸いです。