理学療法士 キュンの在宅リハログ

「モニター、機器が少ない中でのフィジカルアセスメント方法」や臨床疑問をできるだけ分かりやすく、セラピストはもちろんのこと在宅に関わっている看護師やヘルパーにも使える情報を発信していくブログです。

在宅で酸素を使っている方のリハビリを解説

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在宅で酸素を使っている方のリハビリを解説

理学療法士のキュン

キュン (@kyunn23) | Twitter

です。

在宅酸素療法(HOT)「エイチオーティーではなく ホット  と言います)

HOTは一生の義務です。なぜかというと、挿入してよくなって外せる方はないからです。

基本的には、導入している今の状態が一番いいと考えていいと思います。

私たちは、いかに下り坂にならないようにリハビリをしていくのかが大切になります。

 

ここでは、在宅酸素の導入やリハビリ内容についてお伝えします。

 

目次

在宅酸素療法エビデンス

・在宅で酸素を導入したところ再入院の回数と心臓への負担が軽減した。自宅での酸素療法は有効である。

 

・五年間の生存率では、使用した方の方が生存率が高い

 

・やり方に関しても、日中12時間やってない場合と24時間やっている方では

24時間酸素を投与しているほうが成績が良い

 

ただ、酸素中毒があるからあまりやらない方がいいという人もいるが高濃度酸素(70か80%)を吸っている方は、肺の繊維化をまねくデータがある。

在宅酸素では0.5から1リッター単位で調整されるため慢性呼吸不全では酸素中毒にはならないです。そのため、一日酸素を投与してきてもいい成績が残ります。

 

高齢になったときには効果的でない

 

酸素導入時のこと

在宅で息苦しいといった方がいた場合に、酸素濃縮器を導入することをためらう方って沢山いると思います。

酸素濃縮器を設置して動線考えて、その酸素をどこまで引っ張るかとかをやらなきゃいけないので嫌がる方はもちろんいると思います。

 

嫌がる理由は、チューブをつけて移動しなくてはいけないので生活が不便になるからです。

 

だけど、待っていると5年生存率が短くなります。

 

そのような方がいたら若いうちの方が有利であるということを伝えてみてください。 

説得材料になると思います。


在宅酸素療法の種類

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酸素濃縮器とボンベ

・酸素濃縮機 設置型

酸素の管を自宅のどのにでもいけるように位置を決めて屋内の活動を手助けするもの。

 

・酸素の軽いボンベ  携帯型

酸素の持ち時間や残量時間を確認しながら散歩をしたり、買い物を支援する。

なるべく外出等して動くように指導することがHOT利用者は大切になります。

 

酸素の持ち時間を確認するには?

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針が12のところだとします。酸素流量は、1.0ℓとすると 

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 420

となります。

420分であれば安全に外出することは可能となります。

早見表を確認しながら外出してみて下さい。

 

患者さんからのよくある質問

酸素ってなくなったりしませんか?

酸素は、電源が切れない限り大丈夫です

チューブを延長すると酸素が薄くなったりしますか?

20mまで延長可能です。その範囲であれば、濃度は変わらず使えます

 

導入の際にどこに置くか?

  1. 生活導線
  2. 安全面
  3. 部屋の配置

 を考慮して考えていきましょう。

 

酸素濃縮器を置いて、そこからチューブがつながってますよね。部屋の横長の部屋があったとして右端に置くと一番左端に行くのは距離がながくなってしまいますよね。

だったら、真ん中に置いた方がいいですよね。

 

台所だったり良く動く導線の間であった場合は、他の方がひっかけてしまう可能性があるので気づいたら抜けていたってこともあるので生活面も考えていく必要があります。

 

また、酸素は燃えやすいためキッチンの近くに行かないように安全面も考えていくことも大切です。

 

酸素療法をしている方のリハビリ

1.パルスオキシメーターでどんな動作をしたときに酸素が下がるか

2.動く時の呼吸法

 この二つがとても大切になってきます。

 

パルスオキシメーターでどんな動作をしたときに酸素が下がるか

その人その人によって酸素が下がる場面が違います。

どんな時に落ちるのか?

ただ歩いているときなのか、、、?意外に違っていたりするんです。

トイレに行ったときになんとなく酸素が下がるんです。と言われた時に

トイレに行ったときにどんな動作をしたときに酸素が下がるのか評価をしないといけません。

 

いきんでそうなっているのか

立ち座りの時なのか

急いでトイレに行っていってしまうのか。

 

ですので、パルスオキシメーターでしっかりと記録をとってどんな時に酸素が落ちるのか評価することが大事です。

 

動く時の呼吸法

いきまないことです。

みなさんも立つときや座るときに、無意識にいきんでいませんか?

 

立ち上がる時に、「すってー吐きます。すってー吐くときに立ちます」と声をかけてください。

呼吸サイクルを乱さないこと動作が大切

座るときも「すってー吐きます。すってー吐くときに座ります」

 

これを徹底して行います。

癖をつけるのには相当の時間が必要になるので根気よくやっていく必要があります。

 

「HOT」を動かない理由にしない

なぜ、息切れするのか?

そもそもの原因は、活動量の低下による息切れの増加はあります。

HOTをしてても動くことで運動耐用能を上げることで息切れが減る明確なエビデンスもあります。

 

・息切れをしてるから動かない

・動かないから筋力が落ちる

・低栄養になる。

・息切れが増える

負のスパイラル

 

・極力動いて

・息切れが軽減する

・筋肉もついてくる

・食欲も増す 

正のスパイラルこっちのプラスの方向に向けて指導していきましょう。

 

まとめ

在宅酸素療法は、エビデンスでも立証されているように生存率を上げることが出来ます。しかし、高齢者になれるほど効果が薄ることから早めの段階で導入を促していく必要があります。

しかし、導入に至っては生活が不便になる事から嫌がる方が多いです。

「早めに酸素をつけていることで心臓や肺が保護されて長生きできるようになると立証されています。」と伝えると導入しやすいと思います。

 

在宅酸素を利用している方は、①パルスオキシメーターでどんな動作をしたときに酸素が下がるか②動く時の呼吸法が大事になります。

 

どの動作の時に酸素が下がるか評価を行い、その時の呼吸法を指導しましょう。

立ち上がりや座るときにいきむことが多いため、酸素の値をチェックしながら「吐きながら」動作を行いましょう。

 

在宅酸素療法導入は、基本的にはよくなることはありません。いかに下り坂にならないようにすることが必要です。そのためにも普段の生活からの中で息切れが少なく生活ができるように支援していくことが、活動量低下を予防することにつながると思います。

 

在宅酸素の導入からリハビリ内容でお困りの方に少しでも参考になれば幸いです。