在宅ターミナルがん患者 望みに対して「サポートしていく」姿勢を持ち続ける
在宅ターミナルがん患者 望みに対して「サポートしていく」姿勢を持ち続ける
理学療法士のキュン(@kyunn23)です。
今年も今日で最後になります。来年も皆さんに情報を伝えられるようにブログ更新をしていきたいです。来年もよろしくお願いします。
では、本題に入ります。
50歳代の脳から肺へ転移し余命半年の方への介入の仕方について何をしたら訪問リハビリを行っている意味があるのか?
どうしたら最期までその人らしい生活を送り支援をすることが出来るか?
そもそも予後不良の方にリハビリという言葉は合っているのか。
利用者は、どんな思いで訪問リハビリを希望し、何を期待しているのか。
正直、何をすれば正解なのかが分からず困惑しています。
もし自分だったら
不安な気持ちやどうにもならない今後について話を聞いてもらいたい。そして、なかなか一歩が踏み出せないようなことを一緒にやって最期まで自分らしい生活を送りたい。
こう思います。
相手の立場になって考えると
「常に寄り添って話を聞いてくれて、その時その時の目標に対して一緒に一歩を踏み出す」
これが私の考えです。
今回は、私の考え方と調べたことをプラスαで付け加えてお伝えします。
初回介入でやること
はじめの頃は、人間関係の構築に時間をかけ、お互いが信頼できる関係づくりを心掛ける
理学療法士としてどんな支援をすればいいか、どんな評価をして目標をどうすればいいかをずっと考えていました。そうではなく、人間関係を構築し少しづつ寄り添いながら介入していく。まずは相手に認めてもらいその中で支援をしていく。予後が悪いからこそ、安心感を提供することもリハビリの一つなんだと気づかされました。
目標や目的に合った理学療法を提供
過度な目標設定はしない
訪問時は常に評価して何を望んでいるかを記録する
治療者側が決めるのでは無く、対象者主体であることを心がける
200m歩きたいと本人は希望している
なぜ外に出たいのか、何をしたいのかを細かく聴取して望んでいることを明確にしていく必要があると感じました。
そして、治療者が目標を決めるのではなく利用者に決めてもらうように気を付けて介入はしていくことが必要と考えられます。
治療者が必要と判断しても利用者にとっては「そんなことどうでもいい」と思っているかもしれませんので何度も話を重ねていくことが重要です。
200m歩けることで何をしたいか聞くと「少しでも杖を使わず歩けるようにして、春になったら桜を見たい」とのことです。
ご本人も、「なんか目標があると生きてる感じがしていいな。ただ、ボーッと生きてるんじゃつまらないね。」と目標を見つけことで生きる気力をつけることができたと思います。
ただ、現時点での目標であり身体状況に合わせていかないと調子が悪い時でもその目標を考えていると「もう桜は見れないな」と逆効果になりかねなません。
その時は、人間関係構築が非常に重要になってくると思います。
「この人になら今の正直な気持ちを伝えられる」となれば
どんなことが大変でどんな不安があってなど傾聴し安心感を与えます。
ただ、それだけでは目標を見失ってしまい前向きに考えにくくなります。
ここで、「まずは歩けるように頑張りましょう。座る時間を増やしましょう。」これでは利用者は前向きになりにくいです。
理由は、これをしたから桜を見れるか具体的に伝わってきません。
例えば、外に行きたいのに家の中でのリハビリ方法を伝えても何のためにやっているか分かりづらいですが、外に行くための移動方法や手段等を話し合い利用者と検討します。そうすると、目的が分かりやすく前向きに考えやすくなると思います。
また、歩けるように、座る時間を増やすのは治療者が目標を決めてしまってます。もしかすると利用者は望んでいないことかもしれないので望みを意識して伝えていくことが必要だと思います。
元々の望みが桜を見たいのであれば、
「リハビリの時間だけでも車椅子で外に行くことを続けてみませんか」
了解得られれば、車椅子で外に出られるように環境調整を行うなどやれることはいろいろあります。
病院理学療法士の方は機能を考えがちですが、在宅ではその利用者の望みができる範囲で叶えられているか、それで満足しているかを考えていくことが求められます。
最期の生き方を尊重して介入していかなければいけません。
まとめ
ご本人の望みに対して私たちがどこまで真剣に関わり工夫して介入していかなければいけないことに気づかされました。
そして、普段の何気ない会話はとても重要であり人間関係構築が更なる目標設定にもつながることも感じました。
しかし、「人間関係の構築する」は簡単に聞こえますがとても難しいと思います。
利用者だけでは目標に達成できないことも家族によってできることもあります。つまり、利用者以外の家族にも信頼されるように会話の時間を作りみんなで関わることで暖かい輪が生まれそれが利用者の関係構築にもつながると考えています。
今後も、利用者はもちろんご家族との関係性も大切にしつつ、桜を見たいという望みに対してやれることを「やれるようにしていく」ではなく「サポートしていく」姿勢を持ち続けることが大切だと思います。
そして、介入していくことで最期を迎える時に「いい人生だった」と少しでもいい方向に思ってもらえれば嬉しい限りです。
以上、症例に対して資料を読み考えたことです。同じような症例を担当しており少しでも力になれたら幸いです。
ぜひ、同じような症例を介入したケースがいましたら教えて下さい。
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