理学療法士 キュンの在宅リハログ

「モニター、機器が少ない中でのフィジカルアセスメント方法」や臨床疑問をできるだけ分かりやすく、セラピストはもちろんのこと在宅に関わっている看護師やヘルパーにも使える情報を発信していくブログです。

肺炎予防 2つのポイントを意識する

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肺炎予防 2つのポイントを意識する

理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

 

夜寝ているときにせき込みがあって苦しそうで心配です

せき込むと良くないと思って食事は気を付けています

食事の時良くせき込んでしまいます

 

利用者の家族からよくこんな話があります。

この時、みなさんならどんな言葉をかけますか?

 

「苦しそうで大変ですね」

「せき込まないように食事を気を付けるのはいいと思います」

誤嚥性肺炎に注意しないといけないですね」

 

こんな言葉をかけていませんか?

 

「むせることはいいことです」

 

この言葉を伝えてみてはいかがでしょうか?

ご家族の方は、この言葉で安心される方をたくさん見てきました。

 

むせるは、肺炎予防の第一歩なのです。

 

でも、実際はむせてる人って誤嚥性肺炎になっていますよね。むせることは大切なんですがなにかが足りないんです。

それは、口腔ケアもしっかり行うことです。

 

この記事を読むことによって

むせることの重要性を理解してむせる=悪いではなくむせる=良いと言えます

口腔ケアの重要性を理解することが出来ます

 

高齢者のむせるを悪いと判断してしまう原因

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やはり見た目でしょう

せき込むことで苦しい表情をされているからだと思います。

 

しかし、私たち医療人はそのことに惑わされてはいけません。

見た目だけで良い、悪いを判断出来たらそもそも何のために医療人になったのか。

医療人だからことむせるの必要性を伝えていかなくてはいけません。

むせる=誤嚥性肺炎??

ご家族「むせることが多くて肺炎が心配です

施設スタッフ「この人最近食事の時に強くむせることが増えています。誤嚥性肺炎のリスクはありますかね?

このようなことはよく聞かれます。

 

なぜ、むせる=誤嚥性肺炎になるのでしょうか?

 

むせるということは、誤嚥(食べ物などが口から気管に入ってしまう)によって、飲食物を排出しようとする働きです。

この、異物を排出しようとする働きが見た目からあまり良くないと思われがちです。

はっきり言います。これは、いいことです。

 

そして、誤嚥の原因として真っ先に嚥下機能の低下を疑います。

 

だから、嚥下機能低下=肺炎と思われている医療スタッフが非常に多いと思っています。

 

 

ただ、それと誤嚥性肺炎はイコールの関係ではないと思っています。

 

ではなぜ、誤嚥(むせる)によって肺炎を発症する人がいるのか?

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高齢になると

咽頭周囲の感覚の低下嚥下の低下

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咽頭周囲に唾液が溜まりやすくなる

唾液に残渣がくっつくことで細菌が増える

 

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唾液に食べかすがつく



食品誤嚥より咽頭にくっついている残渣も肺に繰り返し侵入してしまう

これが結果として肺炎を発症する

 

ポイント

誤嚥だけが肺炎とは限らない。口腔ケアを行うことで食物残渣を防ぎ肺炎は予防できる。

 口腔ケアを適切に行った場合

  • 肺炎発症率 40パーセント低下

  • 死亡率 50パーセント低下

  • 嚥下反射の時間が短くなる

  • 咳反射が起きやすくなる

 

という研究結果もある。

口腔ケアポイント

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①奥→手前にむけて行う
②舌の上下、側方全体をブラシで刺激する
③感覚刺激が入ることで動きが良くなる

 

むせない=誤嚥性肺炎

不顕性誤嚥

むせのない誤嚥という意味です。

 

むしろ、むせるよりむせない誤嚥は非常に危ないです

理由は、見た目が苦しくなく安全に見えてしまうからです。

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むせがないからといって、ある日とつぜん肺炎が起こります。

高齢者では、不顕性誤嚥で急に肺炎になる方はいないですが徐々に進行し肺炎を発症します。

 

先月は咳が出てたのに最近はよくなったです」とご家族から言われた時、「よかったですねこれは非常に危ない返答です

状態がよくなっていればいいですがむせることをスルーしてしまっている場合もあります。

 

ご家族は、むせないことがいいと思われている方が非常に多いのです

「むせなくなってよかったです」と言われた時、「むせないことは良くないですよ」と伝えてもあまり良いイメージは持たれません。

 

早めのうちに「むせることはいいことですよ」と伝えてあげるといいと思います。

まとめ

ポイント

「この人は、最近食事でむせなくなりました。あの方は、最近食事の時むせるようになって心配です」このように言われた時は、真っ先に「むせない方のほうが誤嚥のリスクが高いので注意してください」こう伝えてください。

 

ご家族や施設スタッフのかたは、皆さんが思っているよりむせることは良くないことだと勘違いされている方が非常にたくさんいます。

正しい知識を持っている私たちが正確な情報を伝えていくことで利用者さんの肺炎を早期発見できる手助けができると思います。

 

また、誤嚥性肺炎を繰り返す方、発症しそうな方がいましたら口腔ケアの重要性をご家族や本人に伝えてみてはいかがでしょうか。歯科衛生士さんに相談してみてもいいかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

起立性低血圧の原因と対応について 4つのポイントを分かりやすく解説

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起立性低血圧の原因と対応について 4つのポイントを分かりやすく解説

 こんばんわ。理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

 


臥床傾向の方はなぜ起立性低血圧になりやすいか分かりますか?

 

それは、循環血液量の低下重力による変化自律神経の変化心機能の低下が関係しています。これらにより、頭に一定量の血液を送ることが出来なくなりめまいを引き起こします。

ただそれだけでは原因が分かっただけで、原因に対してどのように対応していけばいいかが分かりません。

じゃどうやって対応していけばいいか?ここまで話をしていきます。

これを知るだけで他のセラピストとの違いを見せることができて患者さんからも信頼を獲得できます。

循環血液量の低下


地球上で立っている時は、重力があるため体液は足のほうに移動します。

そんなことは医療に関わる人であれば誰だってわかりますよね。

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それでは、宇宙に立っているときはどうなりますか?

 

宇宙で立っている時は、重力がないため体液は頭の方に水分が多くなります。

そのため、頭の方に血液量が多いから「おしっこで出さなきゃ」となります。

 

重力がないつまり、寝たきりの状態になれると体の血液量が下がっていきます。

 

ポイント

寝たきりの方は、ベースが脱水傾向

 

 


なんで、頭に血液量が増えるとおしっこが出るのか?

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頸動脈小体という圧受容器が、頭の方に血液が多いなと思ったときには、「頭の方に血液が多いから早く減らさないと」と体の体液が多いなとまちがえて判断してしまうためおしっこを出します。



つまり、圧受容器が判断したことで脱水傾向となります

 

ポイント

頭部に一定量の血液が送られないように頭を高くすることが循環血液量の低下を防ぐ

 

重力による変化

健常人は、寝ているところから急に起きてもめまいを起こすことはありませんよね。

なぜだか分かりますか?

 

健常人は、寝ているところから急に起きても圧受容器がしっかり働いているため、頭の血液が足に移動しても症状は起きません。

 

ただ、両足に700ml約15%の体液が下がっています。

じゃなんでめまいが起きないのか?

 

この時、圧受容器が「まずい、頭に血液を戻さなきゃ」といって心拍数を上げて頭に送っています

 

なので、健常人であればめまいや失神はしませんが、長期臥床の方は圧受容器の反応が悪いのでめまいや失神を起こしてしまいます。

 

ポイント

圧受容器の反応が悪くなることで心拍数を上げるまでに時間がかかりめまいを起こす

 


じゃ足に移動した血液を戻すにはどうしたらいいか

圧受容器の反応が悪い人にはどうしたらいいか。

 

二つ方法があります。

筋ポンプ呼吸ポンプを使います。

 

筋ポンプについて

足にたまった血液を戻すためには静脈の動きを良くすればいいのです。ただ、静脈には、弁がありません。

 

足をパタパタ動かすことで筋肉の収縮、弛緩することで静脈還流を助けることができます。

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ぜひ。皆さん、足をパタパタするとむくみや疲れが解消されるのでやってみてください。

 

 

・呼吸ポンプについて

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大きく深呼吸して、はいてー吸ってー」と言ってください。

 

肺が膨らんで横隔膜が下がっているとき 吸気

肺が小さくなって横隔膜が上がっているとき 呼気

 

心臓に戻る腹部からの静脈も収縮と弛緩を行うので還流量が上がります。

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横隔膜の中を通過する腹部からの静脈

大きく深呼吸することが血液の還流を助けとなります。

 

ポイント

あしをパタパタ上下に動かしてあげる

深呼吸を促してあげる

 

 

 

 自律神経系の変化

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圧受容器が足に血液が移動したときに「まずい、頭に血液を戻さなきゃ」といって心拍数を上げて頭に送っています。

 

これは、交感神経が働いて心拍数をあげることで頭に血流を送っているので自律神経系の変化というものも起立性低血圧の方はうまく働いていない証拠になります。

 

ポイント

段階的に離床する

いきなり起こすのでなくゆっくり圧受容器の働きを促す

 

 

 血圧低下を防ぐ防御反応として交感神経をうまく使って維持しています。

長期臥床の方は、交感神経がうまく働いていない状態になっています。

 

心機能の低下

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心臓というのは、血液を送り出すものです。

 

一回の「ドックン」で約70ml血液が出されます。

臥床が続くと循環血液量が減ってしまうので70mlしっかり出せない状態になってしまいます。

そうすると、心臓は70mlも出す必要がなくなるので「ドックン」させる力は必要なくなりますよね。

 

その結果、心筋は委縮して力がなくなってしまします

 

さらに、「ドックン」させる必要がないので心臓に血液を蓄えておく必要もありません。そのため、心室の伸展性の低下がおきて容量が不足してしまいます

 

ポイント

十分な血液をためておくこともできず、送ることもできない。これが、心機能の低下です。

 

一回70ml「ドックン」がなくなると血圧が低下してしまうとイメージしといておいてください。

 

まとめ

起立性低血圧は、長期臥床に伴い

  1. 脱水傾向がベースにある
  2. 圧受容器の感受性が低下
  3. 交感神経がうまく働かない
  4. 心機能が低下する。

これら複数の要因が作用し、起立性低血圧を引き起こします。

 

対応としては

  1. 寝たきりにしない
  2. あしをパタパタ上下に動かす
  3. 深呼吸を促す
  4. 段階的におこす

 

臨床で意識してみてください。

以上簡単ではありますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

1冊が読めなくて挫折してしまう人 読む前の準備が大事

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1冊が読めなくて挫折してしまう人 読む前の準備が大事

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

 

医療職で働いていると、細かい文字の本をよんだり、分厚い本を読んだりすることもあります。読み終わったあと、なんとなく読んで終わり知識として定着していないことがほとんどです。そこで、どうしたらいいのかと 読書が苦手な私が手に取った一冊です。

 

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 印象に残った部分をお話しさせて頂こうと思います。

 

みなさんは本を読むときにどんな読み方をしていますか?

「速読」「多読」「選書」いろんなことを意識していたり、なにも意識せずに読まれている方もいると思います。

 

どうしても一冊が読めなくて挫折してしまう

 

という方は、私と同じタイプですね。最初の「はじめに」を読み始めると読む意欲がなくなり知識として定着せずに意味のない時間を使うことになります。

 

どうすれば、読む意欲がなくならず維持できるか。

それは「本を読む準備をする」です。

 

一冊の本を読めない人は、その本に対する意欲を失っているからです。

集中力が切れる=読み通せない

一冊を読み通す力をつけるためには、本への興味を持続させ途切れがちな集中力を復活させることです。

 

では、どうしたらいいかについてお伝えします。

読書は、本を読む準備が大切だ


読書の準備として自分の「目的」や「動機」からほしい知識を具体的に決めることが、読書術で何よりも大切です。


例えば、英語で自己紹介がしたいと明確な目的があり、実際に現地での必要性を実感していた。すると、移動中という短時間にギュッと集中し、具体的なシチュエーションを想定しながら読み進めることで頭に入ってきます。
このように、アウトプットを具体的に想定しながら、インプットとして本を読むとき、脳はいつも以上の働きを見せてくれます。

本でもまったくおなじです。
ほしい知識があるからこそ、必要な情報に気づき、その「使い方」を考えるはずです。

 

 

しかし「まだ読んでもない本にたいして明確な目的を持つのはむずかしいのではないか?」と疑問に思う人はいると思います。

その疑問はごもっともです。

まだ読んでいない本とどう向き合うかのテクニックを知らなければうまくいきません。

 本を読む準備のテクニック

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メンタルマップ

自分の人生の目標や行動を箇条書きにして視覚化したものです

 

なにか行動を起こすときにもたらされるメリット、期待していることなどを3つ箇条書きでメモに書きだします。なにか、迷いが生じたときに、そのメモを読み直します。

すると、脳が自分の行動の意義を再認識し、やる気を取り戻すことができるという仕組みです。

 

これを、読書に応用して活用します。

その狙いは、興味を持続させ、途切れた集中力を復活させることです。

 

読書が苦手な人は、「読み始めたものの10ページで本を閉じてしまう」「別の本が気になってそちらをよんでしまう」その原因は、その本に対する意欲を失っているからです。

 

そんなあなたに足りないのは、1冊を読み通す力。そのためには、興味を持続させることが大切です。

 

3行のメモで、やる気は復活

「なぜ、この本を読もうと思ったのですか?」

「この本から何を得たいですか?」

「読んだ後、どういう状態になりたいと願っているのですか?」

 

 

例えば、私がこの本を読むときに考えたこと、、、、

1冊が読めない

本から知識を得たい

利用者のために知識を持ちうまく関わりたい

 

 

この書いたメモを本の間に挟んで、読書の間、身近においておきます。

 

集中力が途切れたときに、、、

そうか。自分は「これ」が欲しかったからこの本を手に取ったんだ。」と感じるわけです。

その結果、本への興味も取り戻し集中力が戻ってくるのです

ほしい知識が明確になるから読める

「1冊の本が読み切れない」と悩む人は、9割の人は最初の章で挫折していることが分かっているようです。

それが、読書に対する苦手意識をつくってしまいます。

 

これは、まじめに最初のページから順番に最後まで読み進めようとするから起きるトラブルです。

興味のあるところ、必要性のあるページを真っ先に開き、読む。

なぜなら、そこに書かれているのは、あなたがその本を手にした動機と直結している内容だからです。

 

読書の効率を上げるポイントは、最初から読むではなく「興味のある場所だけを読む」。

 

まとめ

本を読むということは、第一に事前準備が大切です。メンタルマップを活用しなぜこの本を手に取ったのかを明確にして集中力を切らさないこと。

そして、1冊を読むということは全部を読めということではありません。読むべきところを章なり見出しから予測を立てて読み進めていけばいいのです。

 

1冊のなかで1つか2つ自分に必要な情報があればいいと思っていますその部分に対して時間をかけたり、そこから疑問に思うことを読んだりまとめたりすることで目的に対しての答えを読書から知ることが出来ると思います。

 

今回、この本から「読書は準備が大切」。

この言葉が非常に自分には大切と思い書かせていただきました。

 

ほかにも、「本の読み方を知る」「本から得た知識をアウトプットする」これらを身につけることでさらに読書術が上がるようですのでぜひ手に取ってみてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

在宅ターミナルがん患者 望みに対して「サポートしていく」姿勢を持ち続ける

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在宅ターミナルがん患者 望みに対して「サポートしていく」姿勢を持ち続ける
理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

今年も今日で最後になります。来年も皆さんに情報を伝えられるようにブログ更新をしていきたいです。来年もよろしくお願いします。

 

では、本題に入ります。

 

50歳代の脳から肺へ転移し余命半年の方への介入の仕方について何をしたら訪問リハビリを行っている意味があるのか?

どうしたら最期までその人らしい生活を送り支援をすることが出来るか?

 

そもそも予後不良の方にリハビリという言葉は合っているのか。

利用者は、どんな思いで訪問リハビリを希望し、何を期待しているのか。

正直、何をすれば正解なのかが分からず困惑しています。

 

もし自分だったら

不安な気持ちやどうにもならない今後について話を聞いてもらいたい。そして、なかなか一歩が踏み出せないようなことを一緒にやって最期まで自分らしい生活を送りたい。

 

こう思います。

 

相手の立場になって考えると

常に寄り添って話を聞いてくれて、その時その時の目標に対して一緒に一歩を踏み出す

これが私の考えです。

 

今回は、私の考え方と調べたことをプラスαで付け加えてお伝えします。

 

初回介入でやること

ポイント

はじめの頃は、人間関係の構築に時間をかけ、お互いが信頼できる関係づくりを心掛ける

 

 

理学療法士としてどんな支援をすればいいか、どんな評価をして目標をどうすればいいかをずっと考えていました。そうではなく、人間関係を構築し少しづつ寄り添いながら介入していく。まずは相手に認めてもらいその中で支援をしていく。予後が悪いからこそ、安心感を提供することもリハビリの一つなんだと気づかされました。

 

目標や目的に合った理学療法を提供

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ポイント

過度な目標設定はしない
訪問時は常に評価して何を望んでいるかを記録する
治療者側が決めるのでは無く、対象者主体であることを心がける

 

 

200m歩きたいと本人は希望している

 

なぜ外に出たいのか、何をしたいのかを細かく聴取して望んでいることを明確にしていく必要があると感じました。

 

そして、治療者が目標を決めるのではなく利用者に決めてもらうように気を付けて介入はしていくことが必要と考えられます。

治療者が必要と判断しても利用者にとっては「そんなことどうでもいい」と思っているかもしれませんので何度も話を重ねていくことが重要です。

 

200m歩けることで何をしたいか聞くと「少しでも杖を使わず歩けるようにして、春になったら桜を見たい」とのことです。

 

 

ご本人も、「なんか目標があると生きてる感じがしていいな。ただ、ボーッと生きてるんじゃつまらないね。」と目標を見つけことで生きる気力をつけることができたと思います。

 

ただ、現時点での目標であり身体状況に合わせていかないと調子が悪い時でもその目標を考えていると「もう桜は見れないな」と逆効果になりかねなません。

 

その時は、人間関係構築が非常に重要になってくると思います。

この人になら今の正直な気持ちを伝えられる」となれば

 

どんなことが大変でどんな不安があってなど傾聴し安心感を与えます。

 

ただ、それだけでは目標を見失ってしまい前向きに考えにくくなります

 

ここで、「まずは歩けるように頑張りましょう。座る時間を増やしましょう。」これでは利用者は前向きになりにくいです。

理由は、これをしたから桜を見れるか具体的に伝わってきません。

 

 例えば、外に行きたいのに家の中でのリハビリ方法を伝えても何のためにやっているか分かりづらいですが、外に行くための移動方法や手段等を話し合い利用者と検討します。そうすると、目的が分かりやすく前向きに考えやすくなると思います。

 

また、歩けるように、座る時間を増やすのは治療者が目標を決めてしまってます。もしかすると利用者は望んでいないことかもしれないので望みを意識して伝えていくことが必要だと思います。

 

元々の望みが桜を見たいのであれば、

リハビリの時間だけでも車椅子で外に行くことを続けてみませんか

了解得られれば、車椅子で外に出られるように環境調整を行うなどやれることはいろいろあります。

 

在宅リハ求められること

病院理学療法士の方は機能を考えがちですが、在宅ではその利用者の望みができる範囲で叶えられているか、それで満足しているかを考えていくことが求められます。

 

 最期の生き方を尊重して介入していかなければいけません。

 

まとめ

ご本人の望みに対して私たちがどこまで真剣に関わり工夫して介入していかなければいけないことに気づかされました。

 

そして、普段の何気ない会話はとても重要であり人間関係構築が更なる目標設定にもつながることも感じました。

 

しかし、「人間関係の構築する」は簡単に聞こえますがとても難しいと思います。

 

利用者だけでは目標に達成できないことも家族によってできることもあります。つまり、利用者以外の家族にも信頼されるように会話の時間を作りみんなで関わることで暖かい輪が生まれそれが利用者の関係構築にもつながると考えています。

 

今後も、利用者はもちろんご家族との関係性も大切にしつつ、桜を見たいという望みに対してやれることを「やれるようにしていく」ではなく「サポートしていく姿勢を持ち続けることが大切だと思います。

そして、介入していくことで最期を迎える時に「いい人生だった」と少しでもいい方向に思ってもらえれば嬉しい限りです。

 

以上、症例に対して資料を読み考えたことです。同じような症例を担当しており少しでも力になれたら幸いです。

ぜひ、同じような症例を介入したケースがいましたら教えて下さい。

 

下記の記事も参考にしてみてください↓

 

yamaga.hatenablog.jp

 

 

 

 

 

 

 

離床で悪くなったとは言わせない

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離床で悪くなったとは言わせない

理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

 

寝たきりの利用者が訪問時に微熱や体調不良よりご家族から離床はやらないでくださいと言われることがあります。

この時、皆さんはそれに従ってベッドで介入しますか?

 

ご本人の体調をこちらで評価せずに言われたから離床しないの誰でもできます。

リハセラピストは、いかに状態を把握して離床の必要性を伝えていくかが重要だと思っています。

 

結論は、離床はした方がいい。しかし、離床できるかの評価した上で行うです。

 

理由は、寝たきりの方は仰臥位を続けることにより肺の下側に無気肺が生じやすく「下側肺障害」、放置しておくと肺炎などを引き起こす呼吸合併症。また、心機能低下や廃用の進行がありワッサーマンの歯車を回すことができず酸素運搬がうまいかなくなり、合併症予防にもなるからです。

 

今回は、離床が必要な理由について臨床で思うことをお伝えします。

 

 

離床を消極的に考えるパターンと離床の必要性

 

微熱

痰が多い

疲れてそう

このパターンは離床した方がいいと思いつつ、できないことが多い場合ではないでしょうか?

 

例えば、家族や本人、看護師など「ちょっと熱が少しあるのであまり動かさない方がいいと思います

それを「ハイハイ」と聞いてしまうリハセラピストではなんのための国家資格なのか分かりません。

 

微熱があっても脈も落ち着いていれば感染的なものではないと考えます。こもり熱の可能性が高く離床はした方がいいと私なら思います。

しかし、離床させたことで「やっぱり離床させたから熱が上がってきたじゃない」と離床させたことが悪いと言われることもあります。

 

 

その場合は、「熱は37.5ですが脈がいつもと変わらず落ち着いていました。呼吸音も正常でした。室内の温度がストーブを焚いていたため高く、厚い布団も何枚かかけていたこともありこもり熱が原因と考えられました。車いすに座ったところ熱も1度下がりました。もしかしたら、室内温度や布団のかけすぎとかはないですか?脈は速いですか?

このように、自信をもって離床した理由を伝えればしっかり確認して離床したんだと分かってくれると思います。

 

ポイント

離床のフィジカルアセスメントはたくさん知る必要がある。離床理由は、明確にする。

 

では、一つずつ考えてみましょう。

微熱

リハビリテーション医療における安全管理•推進のためのガイドラインにのっとり「安静時体温が 38 度以上」でなければ離床を考えます。

しかし、例外もあります。

例えば、平熱が35度の方であればプラス1.5度のあたりで離床すべきか検討します。この時、熱があっても脈の上昇(1度に対して脈が20以上の上昇)が見られなければ感染的な熱と判断せず離床することもあります。

もし、熱が無くても呼吸数(30回/分以上)が早い場合は注意も必要。基本的には体温は最後に代償するものなので脈や呼吸が早い時は気をつけましょう。

 

微熱があるから離床しないのではなく、平熱と比べてどうか、脈はどうなっているかを評価しましょう。

痰が多い

これに関しては、ご家族から言われることが多いです。呼吸が苦しそうだからとかせき込んでいるので離床は控えた方がいいとのことです。

 

呼吸が苦しい、せき込んでるのであれば確実に離床すべきです。

 

呼吸が苦しそうなら尚更起こして換気量を増やすべきです。真っ直ぐ座らせることで横隔膜が働きやすくなるため吸気量が増えます。

また、せき込みは肺にある痰を排出してくれる素晴らしい反射です。もっと強くするためには換気量を増やし咳嗽力を高めます。そのためにも起こすべきです。

疲れてそう

疲れているのはむしろ動かないことによる疲労と考えます。

動かないことにより、肺の弾性力は低下して換気量が減少し酸素化能も低下します。また、胸郭が常にベッドに圧迫され胸郭の変形や柔軟性も低下します。心臓は、そもそも筋肉でできているので収縮力が低下します。それによって拍出量の減少や心臓に戻される血液量も減り循環効率が低下します。筋肉に関しても、廃用性萎縮を招きます。

それによって、

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この歯車が3つとも小さくなるため歯車を回すのに負担がかかります。労力を増やすことでATPを作る量を維持しています。この不の連鎖は臥床によるものです。筋骨格系が働くにはこのエネルギーが必要なので歯車を回りやすくするためにも離床は必要です。

 

下側肺障害の離床理由

私が一番離床しなくてはいけない理由は、下側肺障害を考えます。

長期臥床になることで下側で無気肺が生じ肺炎リスクが上がるからです。

 

肺炎を予防することが、自宅で生活を送るためには必要だと考えます。

 

寝たきりの方は、下葉の聴診を行うと空気の入りが大抵弱いです。特に、右側です。その場合、換気量を増やしてあげることで改善します。

 

無気肺は、換気量を増やして肺胞一つ一つに空気を送り込むことが必要になってきます。

どうやったら換気増えて送り込むことが出来るか?

 

車いすであれば、真っ直ぐ座るようシーティングを行います。

この時が一番換気量が増えるからです。

そこで、呼吸介助も行うことで肺の弾性力や胸郭の柔軟性を維持しつつ、無気肺の予防につながりそして、肺炎予防になります。

 

まとめ

離床は、アセスメントをしっかり行ってから行うことが大前提です。

ただ、チャレンジしてみようではいけません。

自分の中で合併症予防なのかリスクを取るのかを常に考えて介入していく必要があります。

 

 

離床をすることによって、ワッサーマンの歯車を回しやすくなることは確かだと思います。そして、合併症の予防にもつながり入院せずに自宅で生活を送れる方は増えます。そのためにも、私たち訪問セラピストが言われたことを「ハイハイ」と聞くのではなく自分の意見を発信して少しでも離床を促せる機会が増えれば幸いです。

 

以下の記事も参考にしてください↓

 

yamaga.hatenablog.jp

 

 

yamaga.hatenablog.jp

 

 

 

 

化粧は外出頻度を増やす

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化粧は外出頻度を増やす
理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

 

高齢者で化粧している方って活気があってリハビリ意欲が高い方多くないですか?

 

化粧してない方に比べて生き生きしているように感じます。

 

今まで化粧について特に気にしてきませんでしたが、最近化粧の重要性について考えさせられます。

 

今回は化粧の重要性について自分なりにまとめにみました。

 

結論は、化粧頻度が増えると外出機会が増えるです。

理由は、化粧をすることによって積極的な気持ちが強くなり結果的に外出機会が増えるからです。

 

 

化粧頻度と外出頻度について

非高齢者は、化粧頻度も外出頻度も多いと研究結果にありますが、高齢者は高齢になればなるほど化粧頻度が減ると言われています。

 

非高齢者は、仕事面も含めて社会との関わりが強く外出機会が多いため、化粧頻度が多いのは当たり前だろうと考えます。 

 

高齢女性ではどうか?

化粧頻度と外出頻度については非高齢者より高齢女性のほうが関連が強く認められている研究があります。化粧頻度が高い人は外出頻度も高く、化粧頻度が少ない人は外出頻度も少なくなっています。

 

つまり、化粧をする機会を作ることで外出機会を作ることができるということです。

 

非高齢者の方は、外出をするために化粧をして顔を飾っています。

高齢者の場合は、化粧をすることによって積極的に生きる生活姿勢を作り外出機会を増やす。

 

一般的な考えとは逆になりますが化粧と外出に関しては、高齢者のほうが関連しやすいことから外出機会を増やすために化粧を定期的にできるようになることも一つ活動量を増やすことにつながると思います。

 

高齢者に関しては、化粧以外にも身だしなみやお洒落にも消極的傾向があるため積極的な生き方が出来ないでいることが多いです。それが、心身ともに老化を促進する要因になってしまっているのではないでしょうか。

どうしたら化粧をしてくれるか

化粧を定着させたい人がいたとしましょう。

相手の立場になって考えたときにどうしたら化粧をしたいと思いますか?

 

人と接するときではないでしょうか。

 

ただ外出するだけでは見た目をきにすることは少ないと思います。

外出をして、いろんな人に見られて会話をしなくてはいけないから見た目を気にして化粧や衣服を選んではいませんか?

 

例えば、屋外歩行をしながら知り合いの方に声をかけて話をする機会をつくる。

このように、わざと話を振って自分の見た目を気にしてもらう。

これもひとつ使える技だと思っています。

 

私たちは、化粧をしてもらうきっかけづくりをすることであって強制することではありません。どうしたら、利用者が化粧をしてもらえるかを日々考えながら介入していく必要があります。

高齢者に化粧を定着させることは至難の業だと思います。ただ、化粧にはそれだけの効果があると私は思っています。ぜひ、高齢者に化粧を勧めてみてはいかがでしょうか。

 

 

また、前回お話しした

 

yamaga.hatenablog.jp

 褒めて継続させる。これも大切だと思います。ぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

 

 

 

「目的」を探すことが自主トレの定着に繋がる

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「目的」を探すことが自主トレの定着に繋がる
理学療法士のキュン(@kyunn23)です。

 

訪問リハでは自主トレが非常に大切になってきます。それは、普段から運動をして欲しいからです。

 

自主トレは悪くはないですが普段の生活に定着するのはほぼないと思ってもいいのかなと思います。

 

理由は、自分が今まで自主トレを資料で渡してさらにチェック表を作ったりましたが定着して行う方はいなかったからです。

 

たぶん、目的が無いからなのかなと思います。

 

例えば、元気な人は動こうとするとき何かを目的にうごきますよね。

ダイエットしたいから体動かそうとか買い物に行くために車に乗って行こうとか何かの目的があるからこそ人間は動かないといけないと感じます。

 

自主トレに関しては、目的がなく目標に向かってひたすらやる。

 

こんなこと絶対続くわけがないですよね。

じゃどうすれば定着して運動してもらえるかについてお伝えします。

 

結論は、目的を持って動く習慣をつけるです。

理由は私たちが関われる時間は一週間の中でたった数分です。その中で何ができるというのでしょうか?その時だけ満足して終わっても意味がありません。いない時でも自分から動いてもらえることが必要です。

 

目的となるものを探す

 

どうやって探すか?

これは、話すしかないです。

 

リハビリの時間でゆっくり話す時間を作るのが一番いいと思います。

もし、座ることが可能であればそこでたわいもない話から目的を見つけられる会話をしていきます。

 

例えば、いつも化粧をしていない方がいたらそこを目的に使えるように話をして持っていきます。

 

リハ「女の人って毎日化粧して大変ですよねー、〇〇さんは化粧とかしないんですか?」

利用者「面倒で、、もう歳ですし、、」

リハ「化粧した方が綺麗だと思いますよ。もったいないですよ」

利用者「面倒で、、」

リハ「化粧って認知症の予防にもいいですし見た目が明るくなると今よりも5.6歳若く見えますよ」

利用者「ちょっとやってみます」

 

こんな感じで話を進めます。

ですが、これだけではダメです。

一度化粧をしたら

いやーやっぱり化粧した方が若く見えますし姿勢もよく見えていいですよ。次回も楽しみにしています

このように褒めて褒めて次回も私はしっかり確認しますよということを伝えます。

そうすると、次回も忘れないようにやらなきゃとなり少しずつ化粧する回数が増えると洗面台に行くことが増えて、そこで座る時間も確保でき活動量は増えます。

 

ポイント

目的となるものを考えながらそれに向けて話を進めてみて下さい。臨床が楽しくなりますよ。

普段の生活の中から目的を見つけて行う

 

洗濯

掃除

食器を運ぶ

風呂掃除

 

 

など生活で必要なことを目的として少しずつ増やしていく方法です。

動いてない人にいきなりやれと言ってもやりません。

私は、チェック表を作成してやったものに〇をつけてくださいとお願いしました。

次回訪問したときに、大体少しの〇しかついてないと思います。

 

その時に、

「これしかできてないじゃないですか。次回来るまでにもう少しやっといてくださいよ」

この発言は最悪です。

 

ちょっとだけでも「3つも○あるじゃないですか。次は5つに増やしてみましょう」

どうですか?

なんか、やらなきゃっとなりませんか?

 

否定されると「ふざけんな。勝手にいろいろ言いやがって」と思う方もいると思いますが

肯定されると、「じゃもう少しやってみようかな」と自分から自主的にやろうという気持ちにさせることができます。

やはり、人に言われたからやるでは続きません。

なんでも褒めて褒めて褒め倒しましょう。

人に認めてもらうと嬉しいですしこの人のためならやってみようかなと信頼も高くなります。

 

生活動作を目的と決めて一度でもやったり、やらなかったとしても覚えてくれただけでも褒めてみましょう。

 

利用者は変わってきます。

 

自主トレは否定はしない

自主トレは大切です。

自主トレなんか必要ないようなことを書きましたが書類を作成して利用者のためにやっている方は素晴らしいです。

それすら考えられない人は利用者に関わる権利なんかないと思ってます。

 

ただ、自主トレだけで利用者の活動量が増えないという方がいたら「目的を探す」やってみてください。

 

まとめ

ポイント

目的を探しましょう。

そして、地道に褒めましょう。

 

例えば、一週間に一日だけでも化粧が定着できたら化粧台までの移動と化粧している時間は活動できていることになります。もし、40分間化粧に時間を使っていたらリハビリ一回と考えてみましょう。

 

素晴らしくないですか?

ちょっとした変化を少しずつ伸ばしていくことで確実に変化をつけることはできます。

 

私たちの介入時間だけがリハビリではありません。利用者にとってはすべての時間がリハビリであり関わらない時間をいかに目的をもって生活してもらえるか。

 

訪問リハビリの真骨頂だと思っています。

 

以上簡単でしたが少しでも臨床に生かしてもらえたら幸いです。

 以下の記事も参考にしてみてください↓

 

yamaga.hatenablog.jp